池超えのホールになると、なぜか池ポチャしてしまう。
池がゴルファーに与える心理的影響って、大きいですよね。
私がよく行くゴルフ場も、そんな池が多いゴルフ場の1つでよく池ポチャしてしまうんです。
ゴルフ場の池を克服するには、池を良く知ること、、、と思い、池についていろいろと研究してみました。
池に落ちたボールが受ける影響
池で拾ったボールの性能は、きちんと飛ぶ?
アメリカのゴルフダイジェスト社の調査(1996年)によると、1週間水に浸けておいたボールは飛距離が6ヤード落ち、3か月で12ヤード、6か月で15ヤード落ちたそうです。
これは、水分を吸収して重くなったり、ボール中心にあるコアが濡れることによる初速低下が原因と思われます。
ただし、池に落ちた直後に拾えば問題ありません。
一方で、どのくらい水に浸かっていたのかわからないボールは使わないことをおすすめします。
また、ボールはインパクト時にクラブから1トン以上もの衝撃を受けますが、耐久性はかなり高く、メーカーが推奨する交換頻度は2~3ラウンドです。
対して、池で拾ったボールは、使用回数がわかりませんので傷み具合も想定できません。
もしも傷が付いていれば、ブリジストンによると更に10ヤードほど飛ばなくなるそうですから、飛距離がかなり落ちてしまいます。
池の上は、ボールが飛ばない…というのは本当?
「池の上は、水が蒸発して湿度が高いから通常よりも飛ばない」という話をよく聞きます。
しかし、これは間違いです。
湿度が高い=空気密度が小さい=空気抵抗が小さい=ボールは逆によく飛ぶのです。
しかし、池の上の空気密度は陸上に比べー1%弱とほとんど変わりません。
そのため、池の上でも飛距離はほぼ変わらないと言えます。
池ポチャの新ルール
2019年に全米ゴルフ協会がゴルフルールを改正し、日本ゴルフ協会も合わせて新ルールへ変更しました。
池に入った場合、従来と同じようにそのまま打つか、救済方法を取るかの2択となります。
もちろん、そのまま打てばペナルティを受けません。
しかし、救済方法を取る場合、赤い杭、黄色い杭のどちらも1打のペナルティが与えられます。
例えば、1打目が池ポチャし、救済後2打目がグリーンオン、3打目でカップインの場合、ペナルティの1打を加えて、合計4打となります。
ところで、赤い杭と黄色い杭とではドロップエリアが異なりますので、以下の図を参考にしてみてください。
赤い杭(レッドペナルティーエリア)の救済方法3つ
- 元の位置から1クラブレングス内にボールをドロップする。
- レッドペナルティエリアを横切った地点とカップを結んだライン上から、1クラブレングス内にボールをドロップする。
- レッドペナルティエリアを横切った地点からホールに近づかない2クラブレングス以内にボールをドロップする。
黄色い杭(イエローペナルティエリア)の救済方法2つ
- 元の位置から1クラブレングス内にボールをドロップする。
- イエローペナルティエリアを横切った地点とカップを結んだライン上から、1クラブレングス内にボールをドロップする。
旧ルールから何が変わったのか
さて、新ルールは、旧ルールから何が変わったのでしょうか。
表にまとめてみました。
項目 | 新ルール | 旧ルール |
赤い杭の名称 | レッドペナルティエリア | ラテラル・ウォーターハザード |
黄色い杭の名称 | イエローペナルティエリア | ウォーターハザード |
赤い杭の救済方法 | 右記が廃止 | 赤い杭を横切った地点の対岸から打てる |
ドロップ方法 | 足の膝の高さからドロップ | 肩の高さからドロップ |
そのまま打つ | 水にクラブが触れてもOK | 水にクラブが触れたら2打罰 |
池ポチャで間違えやすいルール
間違えやすいルールが1つあります。
それは、ボールが一度池を越え対岸の地面でボールが跳ね、逆戻りして池に入った場合です。
赤い杭は池の対岸から打てますが、黄色い杭は池の手前からとなります。
赤い杭の3つ目の救済方法は、この違いを示しています。
なお、池の向こう側であっても、カップに近づいてはいけませんので注意してください。
スコアメイクでの注意点
池があるホールとないホール、ミスショットで生じるスコアの差
グリーン近くまで池が入り込んでいたり、浮島グリーンの場合、キャリーがわずかでも足りないと池ポチャになります。
池ポチャは、打ち直しとなり2打が加算されます。
そのため、パー3であればダブルボギーの5打。
一方、池がなければ、トップしても、キャリーが不足していてもペナルティを負いません。
それどころか、運が良ければグリーン近くまでボールが転がってゆきます。
池がなければ、ミスしてもパーの3打でホールアウトできる可能性があるわけですから、大きな差が生じます。
池ポチャの原因とその対策
池ポチャの主な原因は、
- プレッシャーからくる緊張で、普段のスイングができない。
- ボールを上げようとして右肩が下がり、トップやチョロになる。
です。
これらを克服するために、
- 肩の力を抜き、スタンスを狭め、番手を上げて余裕を持つ
- 目線を下げ、ロフトがボールを上げてくれると信じる
そう思って打つことが有効です。
プロのトーナメントを観ていると、池超えでも普段と同じゆったりしたスイングで打っています。
このように平常心を持つことが大切ですが、練習量が少ないとどうしても悪いことばかり考えてしまうものです。
例えば、池を超えるときは番手を1つ上げてみたらどうでしょうか。
精神的な余裕と、池を超えるための十分な飛距離の2つを得ることができますから、ぜひ試してみてください。
ゴルフ場側の池に関する事情
あまり知られていない、池の役割とは?
池は、コースの景観や戦略性を高めるだけでなく、下流の河川への雨水の流出量を抑制する調整池としての役割も兼ねています。
調整池というのは、開発で失われた保水機能を補うため、雨水を一時的に貯めて河川への流入量を調整し、洪水被害を防ぐ施設のこと。
そのため、池のほとんどは、池底に防水シートが敷かれており、雨水を確実に貯める構造となっています。
また、芝生には大量の水撒きが必要ですが、水道水を使うと莫大な費用がかかるため、池の水が利用されています。
ベント芝は高麗芝よりも3~4倍の散水量が必要ですから、ベント芝の1グリーンのゴルフ場は池が多いという特徴があります。
対して、2グリーンのゴルフ場は、ベント芝と高麗芝を組み合わせていますので、池の少ないゴルフ場が多い傾向にあります。
ゴルフ場は、池ポチャしたボールをどうしてる?
数年に一度池の水を抜いたり、年に数回ゴルフボールダイバーが池の中に潜り、沈んだボールを拾います。
1時間潜れば、1000個程度回収できるそうですから、池ポチャの数も尋常ではないようです。
回収したボールは、きれいに洗い、ロストボールとして店舗で販売されます。
以前、防水シートの更新工事のため、池の水を抜いたところを目撃したことがあります。
池底が見えないくらい池ポチャのゴルフボールで埋め尽くされていました。
驚いたのは、その色です。
白一色ではなく、とてもカラフルなのです。
最近はカラーボールが定着し、カラーボールを使うゴルファーもかなり増えてきているのですね。